イベントフードの世界(パイプテント編)

昔の話

昔、小生がイベントフードの世界に入った頃は、ちょうどバブルが弾ける寸前の一番景気が良い時だったと思う。

社会全体が好景気に沸き、ほとんどの企業が「イケイケ!」状態だった。

だから、広告代理店もスポンサー集めに苦労する事が無く、イベント会場内にはスポンサーの展示テントが沢山あった。

たばこメーカーが奇麗な若い女の子に水着を着せて、新しいタバコの試供品を配ったり、飲料メーカーが未発売の商品を配ったり、携帯電話のメーカーがストラップを配ったりとか、イベント会場内を一周すると数えきれないほどの試供品やらで両手が一杯になった。

小生達の役割は、来場者への飲食物の提供である。

イベント会場に付帯する飲食店舗もあるのだが、イベントに訪れた多くの来場者を賄える規模の店舗は無い。

すると、来場者からクレームがくる恐れがあるので、会場内に仮設飲食店を設ける。

所謂、来場者への“ホスピタリティー”的な役割を果たす。

出店料も安く三日で五万円ほどだったと思う…

飲食出店者の多くは近隣で飲食店舗を持ち、主催者に頼まれて半ば嫌々出店している者も居た。

殆どの店舗は皆単一で、縦長の黄色い短冊にマジックで書かれたメニューが吊るされており、実店舗で作って来たのであろう、サンドウィッチやおにぎり、焼きそばなどのパック詰めが、ただ会議テーブルに山積みされていた。

小生はと云うと、当時から見た目にかなり気を掛けていたから、覚えたばかりのパソコンを駆使して、POPの作成や看板掲揚をしていたので、他店を圧倒していたと思う。

あの当時、イベントフード専門的に扱う小生の様な人は少なかったのでは無いかな…

まぁ売れたな…

規模が少しでも大きめのイベントなら一日/五十万円売上とか普通の時代だった…

でももうこれは、遠く石器時代の話になる…

現在では、バブル崩壊以降に企業のスポンサーブースがほぼ無くなり、その穴を飲食模擬店で埋めるから、競合が増える。

スポンサーは集まらないけど、イベントの全体予算は決まっているので飲食出店者からの出店料の負担が増えるだけ…

この業界では“パクリは当たり前”なので、誰かがヒットメニューを当てると次週のイベントでは、みんな同じ事をやっている。

だから特異性が無くなり、みんなで仲良く売れなくなる…

プロ意識やプロ根性とは縁遠い世界である。

それより前に、信じられないだろうがこの業界、実店舗での調理未経験者が多い…

だから食や衛生に対する知識が極端に薄い…

床に置いてある物をマナ板の上にドンと置く…

夏の炎天下に生肉を長時間放置…

だから度々食品事故が起きる。

以前、食肉のイベントで鶏ささみの寿司みたいなので事故があった。作り置きが原因とかテレビで言ってたけど、小生に云わせればそれ以前に論外のメニューである。

温度管理に限界があるイベント会場で、半生の鶏肉はカンピロバクターを警戒するし、酢飯であったにせよ、セレウス菌を完全に抑える効果までは期待できない。

起こるべくして起きた事故だと思う、関係者が誰一人気付く者が居なかったのも怖い…

全くの無知であるのに、デカイ看板には「創業40年」とか「売上№1!」など、来場者が錯覚する様な“大嘘”を平気で書いている。

本物と偽物の見分け方は、スマホで店名を検索する事。


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