毎度、小うるさくて恐縮だが二十五年ほど前の事…
助っ人で入った店の近くに、開店三十年の老舗和食割烹料理店があった。
その店の店主が突然小生の店を訪れ、カウンターに一人座り生ビールを注文。
卓上に置いてある割り箸を一本抜き取り、おもむろにカウンター上部に置いてある大皿料理をパクリとつまみ食い…
んっ!? 小生は思わず目を疑った…
小生が驚いていると店主が「ほお、美味いもん出しとるやないか」
それからほぼ毎日、自店がはけた後に来てくれる。ありがたい事に、たまにお客さんを連れて来てくれたりもする。
来てもらうばかりでは申し訳ないので、店が休みの日にその割烹料理店に行ってみた…
店主は当時七十歳ほどで年の近い奥さんと二人きりでやっていた。昔の事なので拙い記憶だが、確かカウンターが八席と座敷十二畳が二間あったと思う。
カウンターに座り生ビールを注文…
メニューブックを探すが見当たらない。料理屋によくある短冊メニューも無く、本日のおすすめメニューを書いてある様なホワイトボードも見当たらない…
聞くとこの店は、店主が客を観て何を造るか判断するのである。だから客はただ料理が出されるのを待つシステム。 まぁ強気だわ…
生ビールを頼んで暫くすると、奥さんが小鉢を盆に載せて持って来た。
夏だったので“茄子のオランダ煮”だった。
旨いと思った…
この日に食べたオランダ煮を超えるものを今日まで食べる事は無い。
そのあと刺身が出て来たところで携帯電話が鳴る。当時は確か、桑田佳祐がCMで紹介するMOVAのPタイプだった。懐かしいと思われる諸兄も多いだろう。
急用が出来て帰らないといけなくなる。
引きずられるような思いで、店主にその旨告げてお会計をお願い…
「おう!一万円だけおいてけ!」
生ビール二杯とお通し、刺し盛で一万円… 高くねっ???
なんとか、引きつる笑顔を維持しつつも、その日は所用に向かった。
数日を置いて、また割烹料理店に行く機会が出来たのだが、今度はスタッフ四名が同伴。
かなり怖い…
前回は小生一人で15分ほどの滞在で一万円なのだから、小生を含み五名で若いスタッフ達が鬼の様に喰えば恐ろしい会計金額になると思う。
涙目になりながら、銀行にお金を下しに行く…
また悪い事に同伴スタッフの一人に、ギャル曽根並みに喰う男が一人混じっている。この男ギャル曽根の食欲の恐ろしさを小生は普段のまかない時で目撃している。
本来、お客さんからのオーダーを承けない店なので、男ギャル曽根の要求は通らないのは良いのだけれど、店主が調子に乗って料理を大量に出して来たら一緒だわな…
化学調味料の賛否(2)につづく
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