テキヤの闇

体験談

「souさん縁日屋台をやってくれないか?」代理店の担当者が電話で一声。

小生、「そんな案件はテキヤに頼めばいい。」

代理店、「えっ⁉違うの???」

まだ20代の若い担当だが、時折とんでもなく失礼な発言をするのが気になる。

こ奴が世間の仕組みと行儀を覚えるには、かなりの時間を要するなと常々思う。

花火大会やお祭り縁日などで必ず出店しているテキヤさん。香具師(ヤシ)とも云う。

小生が日本全国のイベントフードを周っている時によく会ったな。

近年は暴力団排除条例が出来て、だいぶ大人しくなったが、その昔はイケイケで元気が良かった。

小生がイベントエリア内で営業していると、ガタイのごつい顔がゴジラみたいなのが五人でイベント主催者を連れてくる。

連行されたイベント主催者は、顔面蒼白…

イベント主催者曰く、

「こちらの方々が、商品アイテムが被っているので、引いて欲しいそうです」

声が震えていた…

小生は、”またか・・・”と思った。

彼らテキヤさん内でのルールは、「一店一品」という厳格なルールがあり、皆それを踏襲しているが、小生達の様な「イベント屋」は、基本的には品目に制限が無い。

これは、食品衛生法による営業許可申請で、”露店営業許可”と”飲食店営業許可”のいずれの許可を申請取得するかで変わってくる。

露店営業許可証は、基本的に調理が一種類の販売しか許されない。

まぁ、例えば”焼きそば”で露店営業許可申請をしたとするわな、それで販売品目に、中盛300円大盛り500円など・・・これはセーフ。量目が違うだけで、元はどちらも同じ焼きそば、調理工程は一つで同じだから。

ただこれに、せっかく焼きそばを焼く為に重たい鉄板焼き台を持ち込むのだからと思い、合間をみて棒付ウィンナーなどを焼いて売るとアウトなんだな。

各地の自治体の判断により、だいぶん差があるんだけど、”ウォーマーのホットコーヒーを紙カップに注ぐ”といった行為ですら、「調理行為」と断定する自治体もある。

地方の自治体には、時折「なんでっ???」と思う様な事がままある。

小生達、イベント屋と云うのは「臨時飲食店営業許可」を申請受諾している。

露店営業許可との違いは、簡素な設備と一種の調理行為に限定される露店営業とは違い、臨時飲食店営業は、出店区画内に上下水道が確保された二層シンクと手洗い器の他、手指消毒液の設置やペーパータオルの設置など細かい規定が多くあるが、複数のアイテムと調理行為が合法的に出来るのと、露店営業許可ではNGとされる現地での原料のカット(まな板行為)も可能になる。

※くどいようだが、地域の自治体によって基準にだいぶ差があるので注意!

なので、露店営業許可しか持たないゴジラ達は「我々は一本ネタで勝負しているのに、何でもかんでもやりやがって!」となる訳である。

話をもどす…

「わかりました。では引きますが原材料が残るので買い取って貰えますか?」

ゴジラ達に向かって静かに伝えた。

ゴジラ、

「おう、話の分かる人で良かった。なんぼや?」

小生、

「五十万円…」    驚いたゴジラ達に畳み掛ける様に、「遊びに来ている訳ではない。五十万円売りに来ている、相手に引いて貰うならその分を付けるのがスジでは無いか。」

隣にいたイベント主催者が気を失いそうになっていた…

ゴジラ達は絶句したが「ウッ…兄弟と相談してくるから待っとれっ!」と言い残し戻って行った。

その後、ゴジラ達からの接触は無く、小生も平常通り営業した。

ただそれから、そのイベント主催者から仕事の依頼も一切無くなった…

当時はこういった事が普通によくあったな…

後輩が客導線確保の為、客席を少し動かしただけで50人位のゴジラ達が一斉にやって来て後輩を恫喝していた。小生は慌てて仲裁に入る。

ゴジラの言い分は、「客導線が変わり、奥までお客さんが来なくなる」というもの。

そんな事で客導線が変わるとは思えないが…

彼らは、我々フードイベンターが嫌いなのである。

イベントエリア内で営業しているとイベント目的で来ている来場者が対象となるが、エリア外でゲリラ的な営業はイベント会場への通路でしかない。なので、売上が10倍違う事もある。イベントエリア内に飲食提供が無ければ、来場者はエリア外に買いに行く。

だから彼らにとって我々は“目の上のコブ”でしかない。

当時でも良かった事が一つある。

全体的に提供フードのクオリティーは当時の方が遥かに高かったと思う。

小生も子供の頃は、屋台で売られる焼きそばやイカ焼きなどを美味しいと感じた記憶がある。

ただ近年は酷く、マネーファーストになっている。

お祭りの営業で売れ残ったものを持ち帰り、冷凍庫で保管。平気で翌週のお祭りで解凍して再び加熱して売る。火を通せば何でも大丈夫だと思っている。

くじ屋は、三等賞まで当たるくじを入れれば優良業者。射的の景品は、外からは見えない様に棚に釘で固定されている。

それを知らない子供たちは親に小銭をねだり、何度も挑戦するがプレイステーションを手に入れる事は絶対的にありえない。

お客さんが特賞を獲得できる可能性は0パーセントなのである。

固定店舗では無いので、「売り逃げ」が平然と横行している。

※くじの裏技公開!  これは”くじ屋”から実際に聞いた話。テキヤ同士はみんな仲良くは大違いだそうで、それぞれ派閥みたいなのがあるようだ。小生達フードイベンター達は割り箸や原材料の貸し借りなんかはごく日常的にしているが、てきやさんチームはどうも違うらしい。だから時折、対抗派閥の店に嫌がらせをする事がある。

くじ屋でくじを全て買うのである。人気YouTuberがやってる事を本職が本気でやる事があるそうで、その対策として、一般人には判らない様に、くじ箱の内側の折り目に特賞を挟み込んでおくそうである。

次回、お祭りなどで”くじ屋”と遭遇の際はお試しあれ。

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