料理人と犯罪者

体験談

誰が食べても美味しい。そんな料理はありえないと思う。

人はそれぞれ違う“おふくろの味”で育ってきたのである。それを超える事は出来無い。

昔、厨房に居た頃に料理長から「バカ味であてろ」と云われる事がある。

バカ味とは、誰が食べても、「まぁまぁ美味しいね…」と云わせる、なんの特徴も無い当たり障りの無い普通の味付けの事である。

地域によって使い方が違うようで、味のわからない人も「バカ味」と云うらしい。

全国で多店舗展開している飲食店は、このバカ味が当たり前である。セントラルキッチンの大釜で作られ、個包装をした後で冷凍して各所へ運ばれる。

店舗では温めるだけ…

料理人が己が個性を見出せる環境と取り付く島は全く無い…

だから概ね、衝撃的に旨い!っと感じるものが無いのは仕方がない。

しかし個人店では、その店の料理人に判断が委ねられる。

自分の味にハマるお客さんはコアではあるが、妄信的に来てくれる。

自分味にどれだけの人が共鳴してくれるのかの問題、少なきゃ店はやっていけない。

自分味にするのか、バカ味にするのか…    これは、バクチみたいなもんである。

初めての土地で外観が良さそうなラーメン屋に入る。ラーメン炒飯と餃子を頼む。

驚くほど不味い…

スープは油まみれでうま味がまったく無い。そしてぬるい!

麺は多分、外に放置して水分が乾いたものを麺切に入れて、菜箸で強引にほどいたのか、極端に短い。餃子は管理が悪いのかタレを付けてないのに嫌な酸味がある。チャーハンに至っては、セレウス菌独特の雑巾臭がする。恐らく、作り置きしているのだろう。

見事なまでに満点であるっ!

最近、そんなに不味い店は無くなったと思っていたが、最後の生き残りの店に入ってしまった様だ。

飲食店の料理人は、「美味しい料理」を提供して生活しているプロのはずである。

まさか、これを旨いと思って出しているのか…

味の好みの問題を通り越している。           これは犯罪である。

全部一口で残して、

「お会計…」

「1890円です」

昼のランチの事…          

人が人を殺す時と云うのは、こういう時かもしれないな…    ふっとそう思う。

これは、立派な詐欺である。       ゴミの提供者はゴミだと解っている筈である。

ゴミを出しといて、平然と金銭を要求できるのだから。文句を付けても言い訳を用意しているだろう。もう、関わりたく無いから黙って払う。

人ではない…                  他の惑星からやって来たのである。

世の飲食店で料理をする人は、自分が旨いと思う料理だけを出して欲しいと思う。

お客さんから、辛いの甘いの云われてもブレる事のない自信作を…

いい加減な料理を出すのは、楽しみに来たお客さんが可哀想である…

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