飲食店の不思議

体験談

愛知県に住んでいた頃、家の近くに名古屋あんかけスパのうまい店があってね、七日を空けず通っていた。

 顔を覚えられるまでは、注文をした際に必ず、「出来上がりまでに15分から20分お時間を頂きますがよろしいですか?」と確認してくる。

 小生は、過去に長野県の蕎麦屋で90分待たされた事や、浜松のうなぎ屋で120分待たされた経験がある。なんの15分や20分位の事で恐れるものではない。

 「大丈夫ですよ、お願いします。」と短く答える。

いつもの事なのだが、小生は待ちの時間の間ずっとその店のメニューを見ている。癖であるな・・・。

それに気づいた店員から、追加注文の有無を尋ねられる事があったりする。

料理写真の配置や盛付けなど、まさに目を皿のようにしてパクれる個所を探すのである。

現役を離れた今も、この癖は治る事が無いな・・・

そうこうしている内に、注文したあんかけスパがやってくる。

釜揚げパスタの茹で加減が絶妙である。自家製ソースも独特のスパイスが効いて癖になる味だな。

ソースの種類とトッピングの具材が選べ、何通りものあんかけパスタが楽しめるのも、何度リピートしても飽きさせなくて良いと思う。

大蒜とオリーブオイル油を使わないパスタを初めて食したが、感動した!

しかし正直に言えば、この店が“あんかけスパ”の店だと知ってたら入らなかったと思う。

以前に、あんかけスパの名店と云われる、名古屋市内の中心地にある店に入った事がある。

茹で置きしたであろう、ずわずわの伸びた太パスタ麺、何の肉を使っているのか解らない、赤ウィンナーのスライスが、これでもか!っと言わんばかりにてんこ盛り。それにラード油独特のクセのある匂いがする。

空腹で入店したので、期待して大盛りを頼んだのだが、一口食べて、そっとフォークをテーブルに置き、勘定を済ませ退店した。小生には合わなかったな・・・

いや衝撃的な体験をした気がする。

それでも、お昼時にはサラリーマンが店舗の入口に何十人も行列を作っているのである。

小生はひとり、一つ目小僧の世界に足を踏み入れてしまった様な錯覚を感じたのを記憶している。

 前出の家の近くの店は、昼時であっても並んだ事は無い。

 この謎を、小生は未だ解けずにいる。

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