食べ物への愛

私見

テレビのバラエティー番組で紹介されたスパゲティ専門店。

建物の老朽化により閉店を余儀なくされ、38年の歴史に幕を閉じる…

番組では閉店直前の営業模様が映される。何十年前のアルバイトが何人も挨拶に訪れる事から、店主の人柄が垣間見える。

良い人なんだろうな…

そりゃバイトの使い方が悪かったら、閉店前の挨拶になんか行かないもん。閉店してザマーミロでしょ。

映像からは、70種類以上のスパゲティにサービスのサラダや副菜の無償提供など、「お客さんの笑顔が観たい」という、強い“愛”を感じる。

こういった名店が多くの人に惜しまれて閉店していくのが残念でならない。

家の近くに大衆食堂の様な店が出来た。

何度か前を車で通るのだが、中々機会に恵まれず行けずにいた。

ある日の朝に前を通ると“朝食はじめました”の看板が出されている。

あぁ…うまく行って無いんだな…

飲食店を開業して暫くすると、客足が落ちる事がある。開店直後の客足を当たり前と勘違いしてスタッフや食材を用意、落ちた売上では店を維持できないと予測し、本来は夜のみの営業だったがランチを始める。

ランチでも仕込みがあるのは当たり前で、昼と夜の営業で店主の疲労は倍になる。

料理を創るには“気力”と云うのが大事で、疲労困憊の中では旨い物は作れない。

昼も夜もクオリティーの低い料理を提供し、やがて客が離れていき益々深刻な状況に陥る。       負のスパイラルの始まりである。

当初から、客足が落ちる事も想定しておればなのだが、夢の未来ばかり考えているとこうなる。

とわいえ新店であるし、興味があったので朝食を摂りに入店した。

六十位のおばさんが厨房に一人いた。店内はDIYでは?と思える雑なつくり…

メニューは朝食500円一択…お客は一人もいない、小生一人と厨房のおばさんだけ…

選択肢も無いので、朝食を注文。

出て来た盆には、雑に切ったキャベツの千切りに小さい鯵の開きが乗っているが、この鰺、間違いなく焼き溜めしていた物である事が、表面の乾き具合でわかる。

小皿のキュウリの漬物は皿の淵に寄っている…       みそ汁はぬるい…

もう目の前に出された瞬間に戦意喪失である、食べ物に対する“愛”が全く感じられない。

小生は割り箸も割らず、ポケットから500円を取り出し、カウンターにパチンと置き無言で店を出た。

小生のこの行動でおばさんが気付く事を願うのであるが、無理だろう…

何故なら、店外に出た時に追いかけて来て、消費税を請求されたから。

この店が、このあと二か月ともたなかったのは云うまでも無い…

飲食と客をなめてはいけない…


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